冷バリとは・・・
こんにちは、スタッフKです。
今回はダイコーゴムで新しく行う事になった事業、「冷バリ」について説明しようと思います。
正確には、元々弊社とお付き合いのあった株式会社サンテックという会社を
子会社化したという事なのですが、このサンテックで「冷バリ」事業を行っていました。
「冷バリ」という言葉は略語でして、「冷凍バリ取り」や「冷凍バリ取り加工」などが
正式な名称となります。
ではこの「冷バリ」とはどんな加工なのか?という所ですが。
ゴムやプラスチックなどを金型を使って成形すると、パーティングラインと言われる、
金型の合わせ目にどうしても材料が少量流れこんでしまい、製品側に残ってしまいます。
製品にする時にここを綺麗に仕上げるために、金型には「喰切」という加工を
施しておくのですが、喰切を除去しても小さな突起などが製品側に残ってしまう事があります。
これを「バリ」と呼んでいて、このバリの大きさの限度は規格や図面などで細かく指定されています。
バリがある事で正確な組付けが出来なかったり、漏れなどを防ぐためのシール機能が
損なわれたりする事があるからです。
一般的には喰切を除去する、残ったバリを除去するという工程は人が手作業で行っています。
当然弊社でもそれが当たり前となっていて、主に内職さんと言われるご自宅で作業をされる方に
除去作業をお願いしています。
ですが、例えばそのバリの大きさの限度というものは手のひらサイズの製品では一般的には
0.2~0.3mm程度の許容しかなく、小さなOリングなどでは0.1mm以下、という物もあります。
0.1mmですよ?1mmの10分の1ですからね。ほとんど残ってはいけないのです。
それを人間の手作業だけでやれるのかと言えば・・・金型の仕様だったり老朽化だったり
材料の特性だったり色々あるのですが、やはり難しいものは難しいのです。
そこで、そういった細かいバリを除去しなくてはいけなかったり、単純に人の手が確保出来ないので
まとめて機械で処理をしたい、という事を実現したのが冷バリ、という事になります。
古くからあるやり方ではあるのですが、工程として少し特殊な作業になるので
一般的なゴム屋さんが自前で設備を持ってやるにはなかなかハードルが高く、
サンテックのような専門業者に頼む方がコストメリットが出るので主流な方法となっています。
さてここまでは前置き。
冷バリは、専用の機械を使用します。「冷凍」と名の付く通り製品を凍らせます。
実際には機械の中に液体窒素を流す事で冷熱を利用して庫内と製品の温度を下げます。
ゴムは低温にする事で「脆化(ぜいか)」という現象が起き、
いわゆるゴムっぽい伸びたり縮んだりという事が出来なくなり、プラスチックのように硬くなります。
この硬くなった状態のまま製品はバスケットの中でぐるぐる回転しており(洗濯機みたいな感じです)、
そこにメディアと呼ばれる小さな粒を当てる事で、製品部はそのままに、
突起になっているバリ部分だけを砕いてバリを除去する、という装置となっています。
・・・と言ってしまえば簡単なのですが、製品の形状、材料の種類、処理数や時間など、
製品に合わせて様々な条件設定が必要になります。
処理中の庫内を覗くことは出来ないので、条件設定もシビアなものとなっています。
また、液体窒素という「高圧ガス」に指定されているものを使用しますので、
専門の知識だったり事故が起きないための日常管理など、通常のゴム屋さんとは
一味違う工場だったりします。
古くからある技術ではありますがバリ取り方法としてメジャーになっていないのは
今までは現実的なコスト問題も大きかったようですが、昨今の様々な状況を考慮すると、
今後需要の高まっていくバリ取り方法になってくると思います。
・企業の最低賃金が上がっていく事で内職仕事を行うメリットが少なくなっており、
バリ取りの人員確保がし辛くなっている
・「バリ残り」と呼ばれる、規格を外れてしまった大きなバリが付いている不良モードは
ゴム製品の不良モードの中でもダントツ1位に君臨しており、どの会社さんでも
お困りごとの一つとなっている
・ここ10年程で求められる製品品質は右肩上がりとなっており、年々バリ規格についても
厳しい物が求められるようになり、現状の能力では受注出来ない製品が出てくる
・製品のロット数が莫大であり、人間だけで処理するには時間がかかり過ぎる
・最初から冷バリで仕上げをするのであれば、金型に喰切を彫る必要がなく、
金型の起工費用を安くする事が出来る
・外観部品や超小型シール部品など、ほぼバリゼロに近い物を求められる場合、
そもそも人間の手で処理する事が出来ない
外観検査では必ずバリ高さを確認する事になりますが、このバリ確認というのは
先程も説明させてもらったように0.2~0.3mmの大きさを人間の目で判断しないといけないので、
当然バラツキなどが発生し、検査にかかる工数や費用も大きなものになります。
冷バリで処理した製品は、バリがほとんど残らない状態にまで綺麗になるので、
場合によってはバリの検査を省略したり簡略化するなど、検査に関わるコストを
抑える事も出来るので、そういった部分でコストメリットを出す事が出来ます。
上記のようなお困りごとを一つでもお持ちで、ご興味がれば一度ご相談下さい。
製品を持ち込み頂ければトライ処理を行う事も出来ますし、見積り依頼も大歓迎です。
近場ではなくても製品は発送でのやり取りも可能ですのでご検討ください。
なお、株式会社サンテックについては親会社であるダイコーゴムにて運営を行っています。
ご相談・見積り依頼はダイコーゴム、サンテックどちらに頂いても対応可能です。
(実際に現場作業、見積りもダイコーゴムのメンバーで行っております)
バリ取りでお困りの際は是非お声がけください。
株式会社サンテックのホームページはこちら
今回はダイコーゴムで新しく行う事になった事業、「冷バリ」について説明しようと思います。
正確には、元々弊社とお付き合いのあった株式会社サンテックという会社を
子会社化したという事なのですが、このサンテックで「冷バリ」事業を行っていました。
「冷バリ」という言葉は略語でして、「冷凍バリ取り」や「冷凍バリ取り加工」などが
正式な名称となります。
ではこの「冷バリ」とはどんな加工なのか?という所ですが。
ゴムやプラスチックなどを金型を使って成形すると、パーティングラインと言われる、
金型の合わせ目にどうしても材料が少量流れこんでしまい、製品側に残ってしまいます。
製品にする時にここを綺麗に仕上げるために、金型には「喰切」という加工を
施しておくのですが、喰切を除去しても小さな突起などが製品側に残ってしまう事があります。
これを「バリ」と呼んでいて、このバリの大きさの限度は規格や図面などで細かく指定されています。
バリがある事で正確な組付けが出来なかったり、漏れなどを防ぐためのシール機能が
損なわれたりする事があるからです。
一般的には喰切を除去する、残ったバリを除去するという工程は人が手作業で行っています。
当然弊社でもそれが当たり前となっていて、主に内職さんと言われるご自宅で作業をされる方に
除去作業をお願いしています。
ですが、例えばそのバリの大きさの限度というものは手のひらサイズの製品では一般的には
0.2~0.3mm程度の許容しかなく、小さなOリングなどでは0.1mm以下、という物もあります。
0.1mmですよ?1mmの10分の1ですからね。ほとんど残ってはいけないのです。
それを人間の手作業だけでやれるのかと言えば・・・金型の仕様だったり老朽化だったり
材料の特性だったり色々あるのですが、やはり難しいものは難しいのです。
そこで、そういった細かいバリを除去しなくてはいけなかったり、単純に人の手が確保出来ないので
まとめて機械で処理をしたい、という事を実現したのが冷バリ、という事になります。
古くからあるやり方ではあるのですが、工程として少し特殊な作業になるので
一般的なゴム屋さんが自前で設備を持ってやるにはなかなかハードルが高く、
サンテックのような専門業者に頼む方がコストメリットが出るので主流な方法となっています。
さてここまでは前置き。
冷バリは、専用の機械を使用します。「冷凍」と名の付く通り製品を凍らせます。
実際には機械の中に液体窒素を流す事で冷熱を利用して庫内と製品の温度を下げます。
ゴムは低温にする事で「脆化(ぜいか)」という現象が起き、
いわゆるゴムっぽい伸びたり縮んだりという事が出来なくなり、プラスチックのように硬くなります。
この硬くなった状態のまま製品はバスケットの中でぐるぐる回転しており(洗濯機みたいな感じです)、
そこにメディアと呼ばれる小さな粒を当てる事で、製品部はそのままに、
突起になっているバリ部分だけを砕いてバリを除去する、という装置となっています。
・・・と言ってしまえば簡単なのですが、製品の形状、材料の種類、処理数や時間など、
製品に合わせて様々な条件設定が必要になります。
処理中の庫内を覗くことは出来ないので、条件設定もシビアなものとなっています。
また、液体窒素という「高圧ガス」に指定されているものを使用しますので、
専門の知識だったり事故が起きないための日常管理など、通常のゴム屋さんとは
一味違う工場だったりします。
古くからある技術ではありますがバリ取り方法としてメジャーになっていないのは
今までは現実的なコスト問題も大きかったようですが、昨今の様々な状況を考慮すると、
今後需要の高まっていくバリ取り方法になってくると思います。
・企業の最低賃金が上がっていく事で内職仕事を行うメリットが少なくなっており、
バリ取りの人員確保がし辛くなっている
・「バリ残り」と呼ばれる、規格を外れてしまった大きなバリが付いている不良モードは
ゴム製品の不良モードの中でもダントツ1位に君臨しており、どの会社さんでも
お困りごとの一つとなっている
・ここ10年程で求められる製品品質は右肩上がりとなっており、年々バリ規格についても
厳しい物が求められるようになり、現状の能力では受注出来ない製品が出てくる
・製品のロット数が莫大であり、人間だけで処理するには時間がかかり過ぎる
・最初から冷バリで仕上げをするのであれば、金型に喰切を彫る必要がなく、
金型の起工費用を安くする事が出来る
・外観部品や超小型シール部品など、ほぼバリゼロに近い物を求められる場合、
そもそも人間の手で処理する事が出来ない
外観検査では必ずバリ高さを確認する事になりますが、このバリ確認というのは
先程も説明させてもらったように0.2~0.3mmの大きさを人間の目で判断しないといけないので、
当然バラツキなどが発生し、検査にかかる工数や費用も大きなものになります。
冷バリで処理した製品は、バリがほとんど残らない状態にまで綺麗になるので、
場合によってはバリの検査を省略したり簡略化するなど、検査に関わるコストを
抑える事も出来るので、そういった部分でコストメリットを出す事が出来ます。
上記のようなお困りごとを一つでもお持ちで、ご興味がれば一度ご相談下さい。
製品を持ち込み頂ければトライ処理を行う事も出来ますし、見積り依頼も大歓迎です。
近場ではなくても製品は発送でのやり取りも可能ですのでご検討ください。
なお、株式会社サンテックについては親会社であるダイコーゴムにて運営を行っています。
ご相談・見積り依頼はダイコーゴム、サンテックどちらに頂いても対応可能です。
(実際に現場作業、見積りもダイコーゴムのメンバーで行っております)
バリ取りでお困りの際は是非お声がけください。
株式会社サンテックのホームページはこちら
経営・工場|2023/06/05 Mon